# 目次 ## 第1章 煩悩の脳科学:不幸をもたらす快楽への執着(渇愛) …… 7 1.はじめに 2.仏陀の四諦・十二縁起・顛倒の教え 3.仏陀の教えを脳科学で表現するとどうなるか 4.進化的ミスマッチ:昔は人類の進化に有用だった煩悩が、その後は逆効果になったこと 5.進化的ミスマッチの実例 6.仏陀の教え「受は苦、無常、無我」という教えとの整合性 7.進化的なミスマッチが仏陀登場前後に始まった 8.戦争を象徴とする時代の大きな変化 9.快楽順応・ヘドニック・トレッドミルとは何か 10.wanting(欲すること)とliking(好むこと)の分離:快くないのに求めてしまう心理状態 11.脳科学における「報酬」「報酬系」「報酬評価」とは 12.ドーパミン神経のもたらす、際限なき快楽の追求 13.「受は苦」と説く仏陀の教えの科学性:異性の容姿の事例 14.「受は無常」と説く仏陀の教えの科学性:異性の容姿の事例 15.「受は無我・空」と説く仏陀の教えの科学性:異性の容姿の事例 16.甘いものに感じる快楽も、現代の脳の誤作動=進化的ミスマッチ 17.他の現代の進化的ミスマッチの事例:幸福につながらない感覚的快楽 ## 第2章 煩悩の脳科学2:味覚・容姿・承認欲求 …… 24 1.はじめに 2.塩味の進化的ミスマッチ 3.超加工食品に潜む食べ過ぎ・肥満の罠 4.食べ過ぎをもたらしやすい超加工食品への法的規制はあるのか 5.人間の脳が行う異性の容姿の魅力の評価は、主に健康・繁殖力の評価 6.異性の容姿の良し悪しの感覚・判断は、相手の長期的な価値を反映しない 7.容姿から生じる性欲は、異性に「実際以上の価値」を錯覚させる 8.承認欲求は、昔は生存を助けたが、現代ではストレス源になることが多い 9.自分を不幸にするものを好み、幸福にするものを嫌う脳の錯覚 10.仏教が説く顛倒の教え 11.人は「これを得れば幸せになる」と何かを過大評価することがある理由 12.仏道修行は、「依存的心性」を解消する実践型の心理療法の面がある 13.怒りは快楽にもなり、依存性があってやめにくい 14.仏教は、人が、その無自覚・無意識の脳活動による支配から自由になる実践 15.「自己こそ自己の主・保護者」と説いた仏陀 16.現代の快楽刺激は、他者の経済的・政治的利益のために意図的・技術的に過剰に供給されている 17.現代の仏道修行における環境の設計の重要性 18.現代社会で重要な「四つの良い環境」の視点 ## 第3章 AI時代の未来の戦争「微細心理戦」とその心理的な防衛 …… 37 1.はじめに――AIは文明の可能性と危険を同時に拡大する 2.創薬を進歩させるAIは、生物兵器にも転用され得る 3.個々の手法は古いが、AIによって統合された戦争は新しい 4.第一の特徴――「いつ始まり、誰が敵で、そもそも戦争なのか」が分からない 5.第二の特徴――大衆の心と脳が主戦場となる「認知戦」、信頼関係を破壊して敵国民同士を戦わせる 6.仏教の『転輪聖王獅子吼経』の刀兵劫との奇妙な類似 7.第三の特徴――戦争コストが低く、抑止が働きにくい 8.第四の特徴――終わりにくく、被害の回復(信頼関係の回復)は非常に難しい 9.第五の特徴――すでに分断のある社会ほど攻撃されやすい 10.微細戦争で想定される複合的な攻撃:インフラへのサイバー攻撃・バイオ兵器パンデミック・情報認知戦 11.攻撃者は大国だけとは限らない 12.防衛には技術的防衛と心理的防衛の両方が必要である 13.最後の決め手はユニバーサルワクチン=心理的な安定 14.情報に対する適切な判断力や他人の悪魔視の回避 15.初期仏教を現代的な実践心理学として再構成する 16.日本の「和」は、認知戦に対する防衛資産になり得る 17.心と人格の成熟が重視される新しい時代の到来の可能性 ## 第4章 人はなぜ苦しむのか――進化・脳・社会から考える、苦しみの原因と意味 …… 53 1.はじめに――人類が問い続けてきたこと 2.進化は、人間を(心理的に)幸福にするために起こったのではない 3.なぜ人は老い、死ぬのか 4.苦しみは、生命を守る警報として働く 5.苦しみが、警告としては有益ではない場合もある 6.人間が、時間的・社会的に広い範囲で苦しみを感じることが、文明を発達させた 7.現代社会と進化的ミスマッチ 8.現代社会が作り出す承認欲求の進化的なミスマッチ 9.喜びは長続きしない─快楽順応の仕組みがもたらす苦しみ 10.人が、未来の幸福と不幸を正確に予測できずに視野が狭くなるために生じる苦しみ 11.ドーパミンの働きがもたらす依存症的な苦しみ:「好き」と「欲しい」の分離 12.仏陀の説いた第一の苦しみと、心が加える第二の苦しみ 13.苦しみは人を成長させる場合があること、そしてその条件とは? 14.仏教の教えにおける苦しみの意味:苦あって信あり 15.苦しみはすべて悪く、喜びはすべて良いのではないこと 16.苦しみの持つ三つの意味 17.苦しみへの最も現実的な態度 ## 第5章 初転法輪――釈迦が最初に説いたと伝えられる中道・四諦・八正道 …… 68 1.釈迦の最初の説法 2.二つの極端を離れた中道 3.四諦とは何か 4.第一の真理――苦諦 5.第二の真理――集諦 6.渇愛のさらに奥にある無明――十二縁起 7.無明・無智とは何か 8.第三の真理――滅諦 9.第四の真理――道諦 10.四諦は信じる教義ではなく、実行すべき四つの課題である 11.なぜ「法輪を転じた」と呼ばれるのか 12.初転法輪はどこまで歴史的事実なのか 13.初転法輪の核心 ## 第6章 四念処――心身を正しく見つめ、苦しみから自由になる道 …… 88 1.四念処とは何か 2.釈迦が説いたと考えられる四念処の中核 3.身念処――身体を身体として観る 4.受念処――快・苦の感受を観る 5.心念処――現在の心の状態を観る 6.法念処――心を妨げるものと、心を育てるものを観る 7.四念処は、自分だけを観察する教えではない 8.四念処は、戒や禅定から独立した技法ではない 9.後代に加えられ、体系化されたもの 10.四念処についてのよくある誤解 11.四念処が目指すもの ## 第7章 釈迦の無我の教え――「私」へのとらわれを解く五蘊の智慧 …… 98 1.「無我」は、「私は存在しない」という教えなのか 2.人は何を「私」だと思っているのか 3.五蘊とは何か 4.一つの経験の中で五蘊はともに働く 5.五蘊と五取蘊 6.『無我相経』――五蘊のどれも自己ではない 7.五蘊は「無常・苦・無我」として観察される 8.五蘊は「空」である 9.無常・苦・空・無我はどのようにつながるのか 10.四念処との関係 11.無我について誤解しやすいこと 12.五蘊無我から諸法無我へ 13.無我の教えが目指すもの ## 第8章 四無量心――慈悲を広げ、執着せずに生きる仏教の心理実践 …… 112 1.はじめに 2.慈――相手の幸福を願う友愛 3.悲――苦しみを和らげようとする思いやり 4.喜――善と幸福をともに喜ぶ心 5.捨――愛憎に偏らず、平静に公平に見守る心 6.慈悲的に指導するが、相手を支配しない 7.四無量心は、心だけでなく言葉と行動に表れる 8.初期経典における四無量心の瞑想 9.四無量心の目的――自分の心を浄化する 10.四無量心と仏陀の心 11.四無量心の現代的意味