『二十歳からの20年間――“オウムの青春”の魔境を超えて』 宗形真紀子著 (三五館) 2010年2月24日発売 苦しみを作ったのは私、苦しみから脱け出すのも私...。 20歳の時にオウム真理教に出家、2007年に脱会した元オウム信者である著者が、自らの精神と深く向き合った心性ノンフィクション。 二十歳からの20年間--それはまさに、精神の変遷の歴史。 幼少より感受性が強く心の扱いに悩んでいた少女は、二十歳のとき、 「救われたい・生きる意味を知りたい」という一心で、 すべてを捨ててオウムに出家します。 しかし、少女の運命はオウムによって翻弄され、 1995年、ついに地下鉄サリン事件が起こるのです--。 ◎目次 以下に、細かな目次を載せました。 内容がおおよそわかるようになっています。 ぜひ、書籍をお手にとっていただき、実態を知っていただけたらと切に願います。 はじめに 第一章 霊的体験と、生きることへの悩み --二十歳でオウムに入った背景(一九六八〜一九八九) 打ち砕かれた、傲慢な思い込み 三歳までの心の衝撃 自然の中ですごした幼少期 「わたしは悪い心を持った人だ」 14歳--霊体験での苦しみ 16歳--受け入れられなかった父の死 演技の限界--ノイローゼ・登校拒否と自殺衝動 自殺を救った「湧き起こる強い思い」 翁のような導師を求めて上京する カフェバーと初めての宗教 女霊能者の先祖供養と人助け 演技のいらない初めての友だち「うめちゃん」 三日三晩連続した夢体験とオウムとの出合い 「自我肥大」という大きな落とし穴 オウム入信と、夢と現実のシンクロニシティ 「神の祝福」体験は、じつは煉獄だった 八八年、オウム真理教への入信 斬新だった初めて知る仏教の教え 「修行に行くから、成人式には出られない」 麻原との初対面と、オウム的思考のはじまり 地球の救済のために出家を決意する ある神秘体験 グルを切望した理由と、既存仏教への幻滅 傲慢な思い込みにより母を苦しめてきたわたし 八八年から存在していた「救済」の裏の麻原の「野心」 第二章 私を縛り付けていた何か --サリン事件までの出家生活(一九八九〜一九九五) 出家してすぐのリアルな夢 マハームドラーととらえてしまった選挙活動 「グルからの特別扱い」に浮かれ、どんどんおかしくなり始める 最後の呪縛となったグルイズムとマハームドラー 信者と外部の両方に向けられた、麻原と教団の嘘 選挙は本気だったらしいと知る 麻原の陰謀論(被害妄想)と殺人の関係 「ヴァジラヤーナ」という名の大量殺戮の準備がはじまる 「修行の早道」のため、麻原の指示に従おうとする心理 布教の成功を誇らしく思っていた時期 先輩弟子たちとのかかわり 麻原のポアの決意と神格化により、過激に変貌した教団 選民思想の増大と神格化の加速 毒ガスを作りながら「毒ガス攻撃を受けている」との主張がはじまる 麻原による女性信者への支配構造 手段から目的に変貌してしまった「麻原グルイズム」 薬物人体実験を受け入れる 麻原のクローンを作るための究極装置 神秘体験を重視した過ち 麻原に褒められること=修行の目的と成り代わる 薬物(LSD)と温熱修行による成就認定 終末思想や陰謀論と、麻原グルイズムの加速 麻原と合一する観想による、人格破壊の危険性 釈迦牟尼の教えに反し「自己」でなく「グル」が帰依処となる 地下鉄サリン事件直前の、ヴァジラヤーナのお食事会 第三章 絶え間ない葛藤と現実逃避 --地下鉄サリン事件後の五年間(一九九五〜二〇〇〇) 地下鉄サリン事件と強制捜査を陰謀ととらえる 誇らしいと思いこんだ逮捕 親しかった幹部の逮捕や自供 「教祖逮捕」を予言の成就ととらえる 坂本弁護士一家の遺体発掘の衝撃 「地獄に堕ちる」という脅し それでも、退廃的な教団に戻る 「後継者・麻原家三女」への懇願の手紙 秘密の麻原からの獄中メッセージ 麻原初公判と公判傍聴席での不謹慎な修行 破防法弁明手続き意見陳述の改ざん 麻原家三女と自己の神格化 麻原の息子の幼児二人による「猊下体制」 観念崩壊セミナー 「グルの指示」を断れない背景にあるもの 麻原家三女の神格化の過ち 麻原の不規則発言はじまる 教団内外での対立の激化 「一九九九年ハルマゲドン」の予言が外れる オウム崩壊寸前 第四章 魔境に気づく --オウム脱会まで(二〇〇一〜二〇〇七) 上祐から聞いた告白 新たなアレフ体制が始まる 忘れていた、心の教え ヴィジョンに基づく「妄想」 ヴィジョンに基づく妄想から来る魔境 自己の潜在的な欲求を投影した、夢によるヴィジョン 自己の潜在的な欲求を投影した「霊的ヴィジョン」の誘惑 ヴィジョンに基づく妄想による破綻--麻原の場合 久しぶりに自然の中へ行き、珍しい虹と出合う ヴィジョンに基づく妄想を現実に当てはめ出す 日本の聖地に通い始める ヴィジョンに基づく妄想による破綻--わたしの場合 突然の、教団活動からの排除 虹体験とともに魔境に気づく 神のような虹に導かれていたと気づく 夢の続き--夢と現実のシンクロニシティ オウム事件の原因である魔境に気づく さまざまな本から教えられる 事件に関する勉強会と、オウム批判本 オウムで「外道」とされた日本の聖地に導かれる たくさんの人に助けられる アレフ信者の上祐への反発の理由 教団改革の続行 オウム・アレフからの脱会 エピローグ --魔境が教えてくれたこと オウムの総括作業が教えてくれたこと 水の神に助けられる 病気が教えてくれたこと 憑きものが落ちる瞬間 霊や魔物の体験を作り出しているもの 神の体験を作り出しているもの 麻原彰晃とわたしの魔境 内観による自分自身との同調 いままでとこれから 二〇年間の空白と誓い ■著者について 宗形真紀子(むなかた・まきこ) 1968年、静岡県生まれ。感受性ゆえか、幼少期から心の扱いに悩んでいた少女は、 20歳のときオウム真理教に入信。 地下鉄サリン事件後に身に覚えのない容疑で逮捕されるなど、事件の渦中に巻き込まれる。 その後、自らの心と深く向き合う作業による精神の変遷を経て、 2007年、アレフ(オウム真理教の後継団体)を脱会。 幼いころに育まれた大自然に回帰しつつ、執筆・表現活動を行なっている。 ※返品不可(詳細はこちら)